〜SAJ〜 Stepfamily Association of Japan

子連れ再婚家族のための支援団体

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茨木 尚子氏

SAJの誕生とこれからの発展に向けて

明治学院大学社会学部助教授
茨木 尚子 先生



まず私の自己紹介から。私は現在、大学の社会学部社会福祉学科の教員をしています。専門領域は、障害者福祉と社会福祉サービスを提供する組織の運営管理研究です。
こんな私がなぜステップファミリーのこの会と出会ったのでしょうか。

それは昨年の冬のことでした。社会学部の共同プロジェクト研究でご一緒している野沢先生から「ステップファミリーって日本の社会福祉の世界ではだれが研究しているのですか。」と尋ねられました。ちょうど春名ひろこさんからEメールを野沢先生がもらった直後だったと思います。「ステップファミリー??日本の福祉だと、母子世帯、父子世帯の支援というのはあるけれど・・。そういえばぜんぜん聴いたことないです。」と情けない答えをしたように思うのです。そして、先生に教えていただいた春名ひろこさんの作ったSAJのホームページをそれからしばらくして見て、とても感激したのを覚えています。ステップファミリーとなり、ステップマザーとなった一人の女性が、悩みつつ、いろいろな所とつながっていき、日本には必要な支援がないとわかると、遥かアメリカのSAAにインターネットを通 してつながっていく。そしてそこで必要な情報と支援を得て、日本に自分たちの力でステップファミリーの当事者組織を立ち上げようとしている、そのプロセスをインターネットという新しいコミュニケーションメディアを通 じて、今私が目の当たりにしていることに、素直に感動を覚えました。

これまで私は障害をもった人たちの当事者組織にかかわる研究をしてきました。障害者の自立生活運動には「障害をもつ当事者こそがこの問題の主人公であり、専門家である」ということばがあります。自分たち自身が障害をもって地域で暮らす中から得た知識や技術を次の世代の障害者たちに伝えていく「PEER(仲間)カウンセリング」や「自立生活プログラム」は、「障害者のリハビリテーションは医師や専門的な訓練士がやるものだ」という従来の考え方に大きな変革を起こしました。
このような考え方は、ステップファミリーの支援にもつながるように思います。社会福祉サービスというものは、医療サービスとは違って、専門家が提供する支援だけでは成り立ちません。まずは、問題をかかえる当事者と、それをわかちあう仲間たちがいること、そしてそれを理解する隣人や地域の人たちがいること、そしてそこに必要に応じて専門家たちがいて適切な支援をすること、これが重要なのだと思います。
アメリカには問題の数だけ当事者組織(セルフ ヘルプ グループ)があるといわれ、それが実に魅力的で活発な活動を展開しています。日本でも、たくさんの組織が生まれてはいるのですが、なかなか必要な人たちにその情報が伝わらなかったり、せっかく生まれた組織がうまく発展していかなかったりすることが多いように思います。
ステップファミリーという日本ではまだ新しい家族形態とそのメンバーたちが、お互いの存在を認め、さまざまな喜びや課題をわかちあう、そんな当事者組織があり、多くのステップファミリーたちがその存在を知り、必要に応じてつながっていけるようになることができること、それが今求められているように思います。

「ステップファミリーという家族の存在を社会にもっと知ってもらいたい」「ステップファミリーのもつ問題だけでなく、この家族の良さもわかってほしい」「本当に具体的に役立つアドバイスや相談相手がほしい」・・。この春お会いしたとき、春名ひろこさんが言った言葉です。
SAJという組織にこれからどんな人たちが参加し、どんな形で発展していくのか、その中で春名ひろこさんの言った願いがどう実現していくのか、とても楽しみです。そしてこういった組織の発展にどういう形で私たちがお役にたつことができるのかは、本当に悩むところですが、まずはこれまで当事者活動にかかわってきた経験やそこから得た運営の知恵などを提供できたらと考えています。
インターネットなどの新しいメディアを通 して交流が始まったステップファミリーたちが、どんな活動をこれから展開していくのか、一緒に考えながら、じっくり拝見させていただきたいなと思っています。

※肩書きは2001年投稿当時のものです

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