〜SAJ〜 Stepfamily Association of Japan

子連れ再婚家族のための支援団体

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

村本 邦子氏

SAJ、SAAとの出会いとこれから

女性ライフサイクル研究所所長
立命館大学特別任用教授:臨床心理学
村本 邦子 先生



大阪に、女性を対象とした援助・研究機関である女性ライフサイクル研究所を立ち上げて、12年になります。その間、子どもの虐待、女性への暴力などを中心に、治療、予防啓発活動、調査、研究などに取り組んできました。今でこそ、日本の社会も変わりましたが、90年代前半には、トラウマという言葉すらなく、臨床心理や精神医学の専門家養成の過程に、トラウマ被害者の援助についての知識はありませんでした。それでも、実際に援助を必要としている女性たちが大勢いましたので、彼女たちとともに学び、試行錯誤のなかで援助を提供し、社会啓発を行ってきました。これらの経験から、私が確信していることは、日本の社会は、まずは、当事者が動かなければ、変わらない、当事者が動き、社会に働きかけ、支援の必要性が理解されるようになると、最後に、やっと、行政と専門家が動くということです。

SAJと出会ったとき、ああ、ようやく、日本も、新しい家族の形態を積極的に受け入れ、アピールしていく時代がきたのだと嬉しく思いました。ステップ・ファミリーという家族形態は、ずっと以前からありましたが、パートナーシップや家族の成員ひとりひとりを大切にするものと言うよりは、家制度を継続するためのものでした。その後、離婚、再婚の増加とともに、新しい形のステップ・ファミリーは増えていきますが、根強い偏見もあり、どちらかと言えば、それは、隠されるべきものでした。そのため、一般の家族とは、また違った課題を抱えるステップ・ファミリーは、孤立したまま、問題を抱え込み、こじらせ、再び、解体してしまったり、家族内の誰かが犠牲になったりというようなことがあったように思います。とくに、大人たちの都合で振り回される子どもたちの姿に胸が痛みました。

良きパートナーシップを維持していくのは、誰にとっても困難なことです。心の通い合う子どもとの関係をつくっていくことも、生やさしいものではありません。ましてや、ステップ・ファミリーは、ある時点まで、別々の家族の歴史を持つメンバーの集まりですから、余分な混乱もあるでしよう。まだまだ理解の乏しい社会によって生み出される問題もたくさんあります。ステップに固有の問題を分かち合い、支え合い、社会に向けて、情報を発信していくことができるのは、SAJのようなグループしかないと、私は思っています。しかも、SAJは力のあるスタッフの集まりのようで、最初から、しっかりと、体系立てた活動を展開しており、感心しています。

昨年(2001年11月)大阪で行われたマージョリーさんの講演を聞きました。日米の法制度の違いなどについては、初めて学びましたが、家族援助の視点には、まったく共通するものを感じました。何より、大人も子どもも、どちらをも大切にするという姿勢がありました。フロアには、熱心なカップルが集い、積極的に発言や質問をし、新しく創っていく家族をどんなに大切に思っているかが伝わってきました。パートナーであれ、親子であれ、関係をつくり育てていくには、それ相応の時間とエネルギーが必要です。ここに集まっている人たちは、それを十分に理解している人たちなのだと感じました。

自ら、さまざまな課題を抱えながら、SAJという組織を立ち上げ、展開していくために力を注いでおられる春名さんはじめ、スタッフのみなさんには、頭が下がります。私は、心理学的な立場から、SAJの活動に助言したり、相談に乗るという役を引き受けさせてもらっています。当事者でない専門家が、セルフヘルプ・グループをどんなふうに支えられるかには、以前より、関心を持ってきました。専門家が仕切って、当事者の力を削いでしまったり、結果的に、邪魔したり、妨害したりすることも多かったように思うのです。ここでも、良いパートナーシップを模索していけたらと思っています。

私自身は、ステップ・ファミリーのおもしろさは、人間関係が「ご縁」で結ばれるところにあると思っています。たしかに、親同士は自分の意志ですが、それ以外のメンバーとは、まったくの「ご縁」で身内になるのです。本当は、どんな人間関係にも言えることですけど。私とSAJとの関わりも、不思議な「ご縁」から始まりました。そんな「ご縁」を大切にしていけたらと願っています。

※肩書きは2001年投稿当時のものです

| 専門家からのメッセージ | 00:00 | comments(-) | trackbacks:0 | TOP↑

TRACKBACK URL

http://web.saj-stepfamily.org/tb.php/67-5856e12b

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT